西原宏一のFXトレード実践編=「Sell the rumor, buy the fact」
西原宏一のFXトレード実践編=「Sell the rumor, buy the fact」は相場の基本
2月24日のロシアのウクライナ侵攻で、「南半球買い」と新しいコンセンサスも!
外貨exさんのファイナンススタジアムがリニューアルされたことで、僕のレポートもより実践的なコラムに変更となりました。引き続き、よろしくお願いします。
今回は数ある相場格言の中から、「Sell the rumor, buy the fact」という格言が実際の取引でどのように使われているのかをご紹介します。
「Sell the rumor, buy the fact=噂で売って事実で買え」という有名な格言をおさらいしておきましょう。
例えば、あるイベントに対し、マーケットが悪材料と考えている場合、市場参加者は先ず売っておき、そのイベントが事実として明確になった場合は、売却していたものを即座に買い戻すというものです。
長期に渡ってトレードに携わってきた僕のようなトレーダーはこの言葉が体に浸透しており、いつも身構えています。
今回のロシアのウクライナへの侵攻というイベントでも、この格言が生きてきます。
2月24日、ロシアによるウクライナ侵攻が現実のものとなります。
2月24日の侵攻開始が報道されるまで、僕は株とリスクアセットである豪ドルのshort(売り)をずっとキープしていました。
ロシアがウクライナへ侵攻する、という悪材料を織り込みに行く形で、株とリスクアセットである豪ドルは値を下げると想定し、先に売って(shortして)keepするわけです。
これが「sell the rumor」の実際の取引ということになります。
では、この格言をトレース形でトレードするのであれば、仮に「ロシアのウクライナへの侵攻」が現実のものとなった場合、全て買い戻す必要があります。(buy the fact)
実際、僕は「ロシアによるウクライナ侵攻」が現実となった日のNY市場でNasdaqが値を戻すのを確認して、豪ドル円と日経平均の売りポジション(short)を全て買い戻しています。
では、逆の買いに転じていいのかと言う点では、今回はウクライナ情勢を見守る必要があります。
今回の「ロシアによるウクライナ侵攻」は3月に入っても収束せず長期化する可能性が高まってきています。加えて、「ロシアが戦術核を使用するのではないか?」という新しい悪材料も出てきました。
この新しい悪材料を織り込みに行く形で株は再び値を下げてきました。
では、2月24日以前同様、再び為替では豪ドルをshortにするのかということですが今回のマーケットの反応は違います。
戦術核の使用という新しい悪材料に反応したのはユーロ。
そして豪ドルは逆に上昇しています。
つまり、株は反落しているのに、リスクアセットである豪ドルが反発するという新しい流れが起こっています。
これは欧州においての「戦術核の可能性」という新しい悪材料に対して、マーケットは、オセアニア通貨買いという新しいトレンドができつつあるいうことです。
添付図は2月23日から本稿執筆時点までの主要通貨の対米ドルの騰落率。
ロシアのウクライナ侵攻後、オーストラリアドルとニュージーランドドルが大きく値を伸ばしていますが、欧州通貨のユーロは続落。
シンガポールの友人によれば、この「欧州通貨売り、オセアニア通貨買い」という流れは、南半球に位置しているオセアニア通貨が「避難通貨」としての買われる新しいトレンドであるとのこと。
このように、為替市場に大きな流れをもたらす可能性が高い局面では、それが起こるまでは、sell the rumorでriskを取って取引する。そして、その材料が事実となったタイミングで、buy the factで全ての利益を確定する。
さらに、その材料が長期化する場合は、マーケットに新しいトレンドができることがあるため、その流れを見極めて、そのトレンドについていく。
このような考え方を意識しておくと、トレードの収益もぐっと上がると思いますので実践してみてください。
では、今月も楽しくトレードしていきましょう!
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株式会社CKキャピタル代表取締役・CEO
青山学院大学卒業後、1985年大手米系銀行のシティバンク東京支店入行。
1996年まで同行為替部門チーフトレーダーとして在籍。その後活躍の場を海外へ移し、
ドイツ銀行ロンドン支店でジャパンデスク・ヘッド、シンガポール開発銀行シンガポール本店で
プロプライアタリー・ディーラー等を歴任し、現在(株)CKキャピタルの代表取締役。
ロンドン、シンガポールのファンドとの交流が深い。