黒猫アイランド:どの通貨ペアをトレードするか ― 面白い通貨ペア紹介
まず初心者の方が悩むのは通貨ペアの選定でしょうか。僕もそうだったように、ほとんどの人はとりあえずUSD/JPYを選ぶと思います。最初は練習がてら馴染み深いUSD/JPYから入っても良いでしょう。とは言えUSD/JPYはそこまで変動が激しい訳ではなく、残念ながら昨今は日本固有の材料で動く事もほとんどないので、USD/JPYだけ取引をするというのは勿体ないです。
通貨というのは2カ国の材料によって綱引きみたいに動きます。例えばAUD/USDであれば、米国の中央銀行FRBの政策金利の変更、それに加えてオーストラリアの雇用者数変化など、沢山のイベントや経済指標によって動きます。その時々で相場を動かすイベントや経済指標は変わりますが、大きく相場が変動する、というのは利益を生み出す為にはとても大事な事です。いくらスプレッドが狭くても変動が少なければ、なかなかスプレッドのコストもカバー出来ません。
しかし通貨(通貨ペア)特有の値動きがあるのも事実です。例えばEUR/CHFは普段あまり動く事はありませんが、一旦動くと一方向にとことん動きやすいし、AUD/NZDはヒゲが多く狭いレンジに収まりやすい、という癖があります。また変動幅が予め決まっている通貨ペアもあり、デンマークの通貨であるDKKがその代表例です。EUR/DKKは7.46038を中心として2.25%のバンド内(7.29252~7.62823)で推移するよう管理されていますが、実際にはもっと狭いレンジで推移しています。身近なところだと香港の通貨であるHKDも同様です。USD/HKDは7.75~7.85の狭いレンジに収まるよう、香港金融管理局が下限、上限で介入を行います。
そんな下限、上限が決まっているのであれば、下限や上限辺りで売買すれば簡単に稼げるかも知れないと思うかも知れませんが、実際はそうもいきません。2020年から2021年にかけてUSD/HKDは1年近くも下限付近で張り付いていたし、今の時代はEUR/DKKやUSD/HKDのようなペアは売り買い共にマイナススワップが発生します。
両通貨ともに大体0.3~0.5pipsのマイナススワップが発生するので、1年間ホールドすると100~200pipsものスワップを払う事になるでしょう。レバレッジを利かせればそれでも旨味はあるかも知れませんが、圧倒的に資金効率は悪いと思います。また、万が一にも下限や上限が撤廃された時の損失は計り知れないので、リスクリワードの観点からもペッグ制が適用されている通貨ペアを安易に取引するのはお勧め出来ません。
相場を動かすようなイベントが多いペアを選ぶか、癖のある通貨を選ぶか、はたまた予め変動幅が決まっているようなマイナーな通貨ペアを選ぶかは好き好きですが、まずは苦手意識を持たずに色んな通貨ペアを見てみる事から始めたらいかがでしょうか。自分の可能性を狭めない為にも、まずは自分にあった通貨ペアを徹底的にリサーチしてみましょう。
ヒゲが多く見受けられるAUD/NZD。数ある通貨ペアの中でもレンジに収まりやすさはトップクラス。
(外貨exでは取り扱いがないので参考程度に)
普段は大人しく値動きも小さいものの一度動くと大きく動きやすいEUR/CHF。フランショックの時は暴れに暴れた。
ロシア・ウクライナ戦争の影響でスイスフラン高が一時期加速した。
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FX専業トレーダー。 独自の目線で相場を分析、Twitterのフォロワー数1万6千人以上。 自主制作の為替本の人気が高く、最近ではロンドンFXで有名な松崎美子氏、 ファンダメンタルズにもプログラミングにも詳しい個人投資家のひいらぎ氏と 共同で初心者向けの為替用プログラミングに関する本を出版。